稲淵の棚田





明日香村を代表する風景の稲渕地区の棚田。
日本の棚田100選にも選ばれ、四季の移ろいは「日本の原風景」、「心のふるさと」と呼ばれる。
しかし、農業に携わる村民の数は、高松塚古墳が発掘された昭和47年当時に比べて約3分の1に減少、 耕地面積も半分近くに減ってしまった。 この状況を打破しようと、平成7年、地元の農家が集まって棚田ルネッサンス実行委員会を立ち上げ、 「棚田オーナー制度」をスタートさせた。 耕作されなくなった棚田を外部の人に1年単位で利用してもらう制度だった。 県が買い上げていた遊休農地を借りて水田33区画、畑13区画を準備。 募集が始まると、区画数をはるかに上回る応募があり、抽選で初のオーナーが決まった。 オーナーの半分は県外からで、『明日香が好きで応募した』というオーナーが非常に多いという。 オーナーにできない肥料散布などの仕事は実行委員会で行うが、 人手を得た棚田は、見違えるように美しくなった。 「たんぼコース」の会費は当初の計画通り年間4万円。苗代づくりから田植え、稲刈りまで、 実行委員会の指導を受けながらオーナー自ら汗を流す。 収穫された米はもちろんオーナーのものだ。 稲渕地区の棚田オーナー制度がきっかけとなり、 この他にも、阪田地区の棚田で始まったのが「うまし酒オーナー」。 「みかんの一本木オーナー」「土つき野菜オーナー」など5つのオーナー制度が始まった。
明日香の風景は、地元の人の努力と明日香を愛する人達に支えられて保存されている。
2009年4月11日



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